アニマルウエルフェア連絡会

人と動物との適切な関係づくりを考えます。
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民業圧迫と便宜供与
  行政の動物愛護センターなどで、野良ねこや地域ねこ対策に該当する飼い主のいないねこなどを対象の繁殖制限手術を始めることについて、「民業圧迫なので始められない。」という行政側の反応が数年前から流行しているようです。

 およそ十年程前から同センターなどで繁殖制限手術を実施している自治体や、近年になって始めた自治体も増えましたが、民業圧迫の事例報告はありません。
 従って単に何かの理由から「始めたくない」役所が、産業界の勢力分野に調子を合わせて流行らせた「民業圧迫」という言葉のようです。

 例えば、ある地域自治体での数年前のことですが、野良ねこの手術費用の助成金を、この自治体獣医師会支部会員約60名に限り利用して配分する計画を行いました。この自治体の獣医師登録数が約100名の規模でしたから、利用する市民の立場から見て公平性や公益性に欠ける施策として批判を受けました。約6割の会員だけに限る産業界勢力に対する、すごく分かり易い「便宜供与」などとしてです。
 結果的には獣医療に付随した物品の販売促進費を、同会の本部がこの支部で利用することが判明したり、役所と同会員組織と会員間の助成金授受の仕組みが不明瞭だったり、そのほかにもこの計画自体にさまざまなほころびが指摘されるなどの混乱が一時的に起こりました。
 余談ですがその後、市民と役所と同会員やそのほかの開業獣医師などがいわゆる「恊働事業」という、お互いに地域社会に向けて同じ目的を目指す意識を共有し合えたため計画は続いているようです。
 また、この地域自治体に保健所はあるもののセンターはありませんが、市民はある一定の条件の下で、中央にあるセンターの獣医資格を持つ職員によるねこの繁殖制限手術を受けられます。野良ねこ対策恊働支援事業で活動する市民に、手術費用についての負担をかけないという中央行政の考えからです。

 「行政による野良ねこの繁殖制限手術は、民業圧迫なので始められない。」という流行は、役所による獣医療産業界の一部勢力分野に対する「便宜供与」の疑いを増長します。
 役所から一部の産業界に限る依託計画は、通常の請負事業と判断されることもあり、社会貢献の含みを持つ「恊働」活動と断定するのは困難です。従って狂犬病予防注射と同じように、犬ねこの繁殖制限手術助成事業は、役所と関連事業者間との単なる依託事業計画と理解されます。
 野良ねこの繁殖制限手術は法令遵守の「飼い主の責務」ではなく、社会貢献の奉仕活動とも位置づけられます。同センターなどで繁殖制限手術を行う場合に、野良ねこの手術頭数分が増えるだけで、市中の動物病院の通院数との相関関係や増減関係が問題になった事例の統計はありませんから、「民業圧迫」は無いものと思われます。
 更に、野良ねこの手術臨床経験が少ないため、来院に極めて消極的な医院や、診療科目から外す医院も想定されており、そのような際に「民業圧迫」は当初よりありません。
 一部の自治体では獣医療産業界組織と協定の上、センター内に開業獣医師が出張して手術を行う方法などで、野良ねこ対策に恊働で活動する市民に費用負担をかけないなどの構想もすすみ、「民業圧迫」を逆手にとった対策と思われます。

 獣医療に付随した物品の販売を行政が行うとき「民業圧迫」と判断されることは容易に想定できますので、行政によるマイクロチップなどの販売を控えたらよいだけのことと考えられます。
 IT技術は目を見張る進歩発展を遂げます。ねこの体内を動く恐れのあるマイクロチップの他に、外から見て分かり、携帯電話でも読み取れるバーコードリーダー形式などや、そのほかの身元の表示器具の開発が進んでいるようです。

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