アニマルウエルフェア連絡会

人と動物との適切な関係づくりを考えます。
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条例制定のゴタゴタ
 横浜市では時代にさきがけた「横浜市動物愛護センター」の設置にあたり、新たな条例の制定と、既存条例の改正を計画したとろ「飼い主の定義」が原因で紛糾しました。
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 |横浜市動物愛護センター条例| (平成22年12月24 日条例第44号)
 |横浜市動物の愛護及び管理に関する条例|

 古い東京都条例では、【(定義)飼い主 動物の所有者(所有者以外の者が飼養する場合は、その者を含む。)】となっていました。「飼い主」とは動物の所有者であって、所有者以外の者が飼養する場合も「所有者になる」、と判断できます。尚、条例の前段とされる動物愛護法(但し通称)には「飼い主」の定義はありません。
 平成18年に改正された都条例では、【(飼い主の責務)第五条 飼い主(動物の所有者以外の者が飼養し、又は保管する場合は、その者を含む。)】として、『飼い主は動物の所有者になる』と判断する根拠がなくなりました。動物愛護法のように、「所有者のいる動物を占有する者」に近くなりました。また、動物愛護法ではどのような行為のときに「所有者になるのか?」を決めていません。(このようなことを以前のブログにも書きました。)

 役所が今迄なかった施策や文書、条例などを計画するとき、多くの場合はよその自治体の前例に従います。横浜市に限ったことではありませんが、「飼い主」や「動物」を定義している条例や措置要綱が多数です。
 横浜市の例では【(1) 動物 人が飼養又は保管をする動物でほ乳類、鳥類及びは虫類に属するものをいう。】と動物を定義しますが、動物愛護法第44条では【前3項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。一 牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる 二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの】つまり、一号に揚げる11種の動物は人に占有されていなくても愛護動物です。横浜市条例は対象動物を定義するとき、「法律の範囲内」を超えてしまいました。

 更に横浜市条例では【(飼い主等の責務)第5条 飼い主(実質的に飼い主と同一視される者を含む。以下この項において同じ。)】となっています。(以上は、平成18年施行の横浜市動物の愛護及び管理に関する条例より)
 「飼い主」を定義するとき、所有や占有や取扱など「保護管理」にかかる行為のほかに、動物の所有権をはっきりしておかなくては、「責任・義務」を果たす対象者を決めにくくなるという二面性があるためと思われます。逆に「飼い主が所有者である」と容易に決められる時、行政指導などはすごくやりやすくなります。
 現実ではないと思われる法律を威圧的に持ち出すこともなんなんですが、例えば人に占有されていない 牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひるなどの愛護動物の所有権を、誰かに安易に与える権限が役所にはありません。
 愛護動物の野良牛?がいると仮定します。実質的に飼い主と同一視されるように、餌の豊富な草原に追い込んだとしても「あなたの所有物」にはならないという理屈です。つまり、「あなたの物なので、法律に従い適切に保管しなさい。」と指導できないのです。
 聞くところによると、【日本国憲法第94条 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。】とあります。横浜市条例は「飼い主」を定義したかったばかりに「法律の範囲内」を超えてしまいました。
 例にあげた横浜市に限らず、このような条例や措置要綱は全国各地に横並びでたくさんあります。改正前の都条例がお手本のようですから、見習って改正して欲しいと思うのです。
 また、安易なそれなりの行政措置で「飼い主」や「動物」の定義をしないでいただけると有り難い。例えば「法律の範囲内」をいくつも超えた疑いの強い荒川区条例は現在でも執行できません。検索キーワード|荒川区 野良猫 餌やり 罰則付き条例

 現在、動物愛護法の「5年ごとの見直し」時期がせまり、さまざまな勢力分野などの動きが増しているようです。動物の所有者、占有者、取扱者についての責務などについて動物愛護法がきめ細かく定めています。
 しかし何度も繰り返しますが我が国には「動物基本法」がありません。人が、所有者占有者取扱者などのいない愛護動物に対して、どのような行為に及ぶ時、あるいはどのような意志を表明するとき、命あるとされる「動物」の所有権が生まれるのか?などについては地方自治の慣例と裁量に注目されている程度です。

 動物は一義的に「命あるもの」です。地方自治体それぞれの都合により、命になったり、物になったり、では混乱します。家族動物も、取扱業動物も、実験動物も、畜産動物も、ぜんぶひとつの「動物の愛護及び管理に関する法律」でくくれる道理もありません。

 明ける新年には、動物が命あるものである、と定める「動物基本法」が望まれます。

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