アニマルウエルフェア連絡会

人と動物との適切な関係づくりを考えます。
<< March 2019 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
 
 
動物たちのために法を使いやすく・・・
※|メルマガ|を転載しました。

 「法をザルといわれないため」の工夫に続き、命ある動物たちのために法を使いやすくする工夫を考えます。
 人の暮らす環境に棲む動物に餌を出そうとするとき、「飼う責任を持てないのなら止めなさい」、としばしば言われます。その対象動物が動物愛護法で決めた愛護動物のときに問題が広がります。同法は主に動物の所有に関わる権利と義務を前提に、所有者や取扱者や占有者を飼い主と見立てて、人との共生をはかるために飼い主が守るべき、適切な保護や管理などの事柄を決めています。
 身近なねこが分かりやすいので例にします。多数頭の野良ねこに給餌を続ける人がいます。しかし、給餌者にそのねこの所有権を与える権限が行政にもどこにもないので、飼い主としての義務が宙に浮きます。所有権を求めない人に、飼い主責務も押し付けられません。そのため、お金に換算できる被害を訴える人は、野良ねこへの給餌者がそのねこの所有者であること、又は給餌と被害の明確な因果関係を法廷で証明しなくては訴えが成立しません。
 例えば、係争対象の野良ねこ多数頭のうちの1頭が自室内で頻繁に膝に抱かれていたなど、飼いねこであることが合理的に判断できる画像などを裁判所が認める例も想定されます。しかしねこの所有者と証明されたとき「給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待」は法律上の犯罪です。従来のような地裁での結審や控訴は被告や原告の思惑にも左右されるでしょうから、今後は上級裁判所での判断に委ねられる機会が出てくるかも知れません。
 しかし先ずその前に、そのような人と人の係争を前もって防ぐ目的から「地域ねこ対策」の行われていることは周知の通りです。東京都が平成13年から試行した「飼い主のいない猫との共生支援プログラム(通称地域ねこ対策)」は、平成22年2月に環境省の示した「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」の中に「地域猫」として解説されています。

 そこで法を使いやすくする本題です。(条例の根拠法との整合性について)東京都が地域ねこをモデルプランとして行っていた平成13年当時の都条例は、【(定義)飼い主 動物の所有者(所有者以外の者が飼養する場合は、その者を含む。)】となっており、現在でも全国各地の多数の条例にそのまま流用されています。この場合、「所有権を持つ者のいない動物の飼養者に、新たな所有権を与える。」とも判断できるため、所有権を与える権限のない東京都が、地域ねこ対策地区内の野良ねこの飼い主の権利と責務を誰かに押し付ける結果につながり、行政民事不介入の原則が保たれなくなります。
 その後、都で地域ねこ対策を正式な事業計画に組み入れ、平成18年に改正した「東京都動物の愛護及び管理に関する条例」で、誤解をまねいていた飼い主の定義が微妙に変わっています。
 【(飼い主の責務)第五条 飼い主(動物の所有者以外の者が飼養し、又は保管する場合は、その者を含む。)】
 ここでは、所有者のいる動物を、動物の所有者以外の者が占有しながら飼養し、又は保管する場合、と判断できるため、条例のもとになる法律に近付きました。飼い主責務にこだわらないで、それなりのルールがある地域対策としての「飼い主のいない猫との共生支援事業」が文字面通りに、また根拠法に準拠しながら成り立ちます。

 条例が根拠法と整合性のとれていない多くの自治体ばかりか、所管の環境省も「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」で用語を定義しています。
【・ 飼い主 動物の所有者又は占有者(動物の飼育又は保管をする者)】
 根拠となる動愛法に従いながら、是非とも「飼い主」の定義が必要でしたら、
【動物の所有者、又は所有者のいる動物の占有者(所有者又は占有者のいる動物の飼育又は保管をする者)】などが適切と思われます。
 このような誤解の多い定義は野良ねこに限ったものではなく、人の暮らす環境で共生する動物に餌を出すとき、所有占有の権利も「飼い主」の言葉とともに給餌者に移ってしまうことになり、人と人の間に混乱が広がります。

【動愛法第44条 4 前3項において「愛護動物」とは、次の各号に掲げる動物をいう。
一 牛、馬、豚、めん羊、やぎ、犬、ねこ、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる
二 前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの】
 つまり、一号に揚げる11種の動物は人に占有されていなくても愛護動物です。

 動愛法を命ある動物たちのために使いやすくするとき、同法から根拠を見つけにくい「飼い主」の定義は要らないと思うのです。

(C) 2019 ブログ JUGEM Some Rights Reserved.