アニマルウエルフェア連絡会

人と動物との適切な関係づくりを考えます。
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メディアは正確に・・・(一部修正)
[同じ内容の記事を5月21日に掲載しましたが、5月26日に一部を修正しました。]

 加藤元名人が訴えられた事件で世間が騒然としました。「控訴」という報道もあり、また、そうではないとの情報も交錯しているらしいです。控訴なら結審ではなく係争中ですので、確かな結果情報の得られるまで多くのことがらは控えます。(※5月26日現在の報道では、控訴しないとのことです。)

 メディアは一斉に「野良猫餌やりは違法か?」、をテーマに絞ったようでした。例えば「名人、禁じ手。」などと、随分先走った報道もありました。
 現時点で「東京地裁事件番号ワ2785」の判決文全文の閲覧ができていないので、マスコミ報道の情報を手がかりに判断してみます。

 類似の前例と同様に、マスコミがこぞってテーマにする、野良猫への餌やりの違法性を争った裁判ではなく、原告側が訴えた「人格権」を保護するという「ペット禁の規約」を、「受任限度を超えて侵害する」事態、が「違法」なのかどうなのかの判断が問われたものと思われます。
 マスメデァの報道のような、「野良猫への給餌に対する損害賠償」ではないことや、「控訴」も想定されるものならば、未だ係争中の事案であることに、充分な留意が必要と思われます。

 関連報道の中には「環境省が[地域猫]の指針をまとめた。」という記事もありました。正確には「動物の愛護及び管理に関する法律」よって「告示」された、「動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針」をよりどころにした、「住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン」の中の7項目中のひとつの「地域猫」を解説しているものでした。
 環境省のまとめた「指針」を要約すると「野良猫への恣意的な餌やりがあるので、その結果に対して、地域の事情に充分に配慮し、動物管理と動物愛護の両立する、それぞれの自治体の事情に即したガイドラインを作りなさい。」というものです。
 環境省が『指針に基づいたガイドライン作成のお手本に「地域猫」の参考事例を盛り込んだ』ことと、マスコミのいう『地域猫の指針を環境省がまとめた』ことは似ていますが違います。
 いずれにしても「地域猫」に環境省が取り組んだことは、ボトムアップした草の根市民活動が官民協働事業として認められたものと判断され、極めて高く評価されます。しかし、マスコミのいうように「地域猫」を解説したトップダウンのひとつのサンプルケースだけが、国内すべての地域事情と合意を成り立たせ「地域猫対策」を根付かせるお手本とも限りません。

 日本には「動物基本法」が未だありません。動物愛護法はダメな法律だ、とよく糾弾されます。現行法の改正はもちろん必要ですが、今ある法律を「動物が命あるものであることに鑑みて」、そのように思い行う国民が適切に使いこなすには、担当行政マンはもとより、知識人や有識者といわれる方々の努力も欠かせないと思われます。

 数人のメディア関係の方々と面談の機会がありましたが、「動物が人のために働き、人の役に立つ」などの観念が浸透しているように感じます。「命あるものを、人の利益と嗜好のもとで玩ぶ。」などを憂慮する立場と、メディアなどの有識者の皆さまとのお考え方との合意形成の道のりは、まだまだ遠く長くけわしいものと思われます。

 動物愛護法をダメな法律だ、と決めつけるのも方法でしょうが、命ある動物たちのために、この法律を「法令順守」のもとで使いこなす使い道が無い訳でも無いと思うのです。例えば、改正前の動物保護法で執行の立ち後れていた「遺棄虐待犯罪」が、改正動物愛護法では「愛護動物遺棄犯罪」と「衰弱虐待犯罪」と「殺傷犯罪」とに極めて分かりやすく変わりました。この違いを解説するマスメディアを見たことありません。有識者を含むメディアは今でも、懲役刑があり、所有者や占有者の有無に関わらず適用される「殺傷犯罪」と、飼い主等の責務違反に関わる「衰弱虐待犯罪」をひと括りにして、「動物虐待」といい続けています。

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